スタチン服用と運動
スタチン、別名HMG-CoA還元酵素阻害薬はコレステロール合成経路の律速段階を阻害する脂肪低下薬の総称である。
スタチンは、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-D)の血中濃度を低下させるため、冠状動脈疾患関連の心臓血管系における危険因子の低減に有効である。
スタチンの長期服用は、骨格筋ミオパシーなどの多くの副作用も生みだす。
ミオパシーとは筋疾患を示す総称
- 筋力低下などの軽度の症状
- 横紋筋融解症(血中クレアチンキナーゼ(CKの)増加>10倍)
- 褐色尿/ミオグロビン尿
- 腎不全に至る重篤の症状まで多岐にわたる
- スタチンの服用量が増すとLDL-Cが減って、心臓血管系リスクが効果的に低下。
- 高用量になるほどスタチン誘発性ミオパシーのリスクが高まる。
- 推奨投与量は、筋機能を最善に保つよりも、理想的な脂肪プロフィールを保つことを優先している。
○スタチン服用者のためのトレーニングプログラム
- 低量(シングルセット)かつ低強度(≦60%)から開始
- 十分な回復時間(セット間に約2分)
- 段階的に複数セットへ漸進させる
- トレーニング頻度は最低48-72時間の間隔
トレーニングプログラム初期段階
- 大きな力のかかる伸張性筋活動(ダウンヒルウォーキング、スティフレッグ・デッドリフトなど)を避ける。
○スタチン服用開始前にトレーニングを始める事を勧める。
- ミオパシーを回避するプレコンディショニング効果を得られると考えられる。
○エコンザイムQ10 (CoQ10)の補給
- スタチン療法が、ミトコンドリアによるエネルギー生産経路の重要分子CoQ10の血中濃度を低下させることを示す研究結果が存在する。
- したがってCoQ10を補給することも、スタチン誘発性ミオパシーの発症率を低下させる可能性がある。
○ビタミンDの補給
- ビタミンDの欠乏がスタチン誘発性の筋力低下に何らかの役割を果たしていることが報告されている。
- ビタミンDの補給が筋症状の回復に有効な可能性がある。
Vol 22 Num 5 Jun2015 p69-p72
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