有酸素性、無酸素性運動に対するアミノ酸とその代謝産生物質
○物質名
- 使用目的
- 摂取のタイミング
- 用量
- 裏付けエビデンス
- メカニズム
- その他
○必須アミノ酸
- 骨格筋の合成増大
- 運動45分前と運動後30分以内
- 1回8-10g
- 強力なエビデンス
- (転写遺伝子の)翻訳開始の増加
- 乳製品、卵、肉製品に多く含まれる。菜食および低プロテイン食のアスリートは利用を検討するべき。
○BCAA :筋力
- 骨格筋タンパク質の合成増加
- 運動45分前と食間 / 食後2時間
- ロイシン3g、イソロイシン1.5g、バリン1.5g
- 強力なエビデンス
- 翻訳開始の増加と長期翻訳の延長
- ロイシン含有量に基づいて食品を選択
○BCAA :持久力
- 中枢疲労の低下と持久力パフォーマンスの延長
- 運動中:持久力運動中1時間ごと
- ロイシン3g、イソロイシン1.5g、バリン1.5g
- 主観的運動強度にかんしては十分なエビデンス、パフォーマンスの利益に関しては矛盾
- BCAAとトリプトファンの比率にもとづくトリプトファンの脳内摂取を抑制
- 糖質摂取の低下に伴い摂取の重要性が増す
○グルタミン :免疫サポート
- 免疫のサポート
- 不明
- 1回5-10g (1日20-30g)
- 弱いエビデンス
- 運動の誘発するグルタミンの減少抑制。リンパ球の増殖を最大化する
- 耐用性は良好だが、グルタミン濃度が正常値に戻ると免疫機能の向上は認められない
○グルタミン :持久力
- 低-中量(≦60%)の糖質摂取時のグリコーゲン合成の増加
- 運動の直後
- 1回約8g
- 予備的だが肯定的エビデンス
- 細胞膨張を介してグリコーゲン合成の増大
- 糖質制限食を取るアスリートにおそらく有益であろう
○タウリン
- 抗酸化作用
- 運動前と不明
- 運動前に2g、1日6g
- 予備的だが肯定的エビデンス
- 細胞統合性の維持および心筋と骨格筋の興奮性/発揮筋力の増大。筋小胞体からのカルシウム放出を促進
○アルギニン :筋力
- 筋力、パワー、筋肥大の向上
- 運動前60-90分
- 1回6g
- 筋力とパワーに関して十分なエビデンス、筋肥大に関しては矛盾した結果
- ATPの利用向上と栄養摂取の増大。サテライト細胞の活性増加
- 長期間の摂取は一酸化窒素の合成低下や血管機能の低下をもたらす可能性。最も重要なワークアウトだけで使用し、3-4週間で投与を一旦中止する
○アルギニン :持久力
- 持久力パフォーマンスとランニング/自転車の効率改善
- 運動前60-90分
- 1回6g
- 初心者から中程度のレベルの持久力アスリートには十分なエビデンス、上級アスリートではエビデンスはない
- ATPの利用促進、栄養摂取の代謝産物の排出向上
- 長期間の摂取は一酸化窒素の合成低下や血管機能の低下をもたらす可能性。最も重要なワークアウトだけで使用し、3-4週間で投与を一旦中止する
○HMB :筋力 (βヒドロキシβメチルブチレート:ロイシンの代謝産物)
- 筋力、パワー、筋痛、筋肥大の改善
- 運動前60-90分に、HMBを遊離酸とCaHMB(カルシウム酸)の形でそれぞれ
- 3-6g/日(38-76mg/kg/日)半量を運動前に摂取
- 強力なエビデンス
- タンパク質合成の増加、タンパク質分解の減少、局所成長因子の刺激、損傷筋組織修復のための基質を提供
- HMBは未経験の刺激または異化作用のある刺激に対して理想的な効果をもたらす。HMBを高強度の期分けされたトレーニングで用いることが推奨される
○HMB :持久力
- 持久力パフォーマンス、代謝能力、乳酸値閾値の改善
- 運動前60-90分に、HMBを遊離酸とCaHMB(カルシウム酸)の形でをそれぞれ
- 3-6g/日(38-76mg/kg/日)半量を運動前に摂取
- 強力なエビデンス
- 可能性として、ミトコンドリアの発生促進とタンパク質の代謝回転の向上(タンパク質の合成の増加、分解の減少)
- 大部分のHMB研究でCaHMBを使用。最近の研究結果では、遊離酸HMBより早く吸収される身体貯蓄率も高い
○β-アラニン :筋力
- 筋持久力、60-85%1RMでの総運動量の向上
- 現時点では不明
- 3-6g/日(38-76mg/kg/日)試合前最低1ヶ月、3ヵ月ならなお良い
- 強力なエビデンス
- 筋内カルノシン濃度の向上による緩衝能力の向上
- おそらく1回1gを3時間ごとに1日数回に分けて摂取する必要がある
○β-アラニン :持久力
- 持久力パフォーマンス、換気閾値、疲労困憊までの時間の改善
- 現時点では不明
- 3-6g/日(38-76mg/kg/日)試合前最低1ヶ月、3ヵ月ならなお良い
- 強力なエビデンス
- 筋内カルノシン濃度の向上による緩衝能力の向上
- おそらく1回1gを3時間ごとに1日数回に分けて摂取する必要がある
Vol 22 Num 4 May2015 p59-p69
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