※ホエイとカゼイン・プロテイン
※ホエイ・プロテイン摂取による免疫システムの長所
- ホエイ・プロテインはアミノ酸とシステイン(合硫アミノ酸の1つ)含み、グルタチオン(生体内の酸化還元機能に重要な働きをする)レベルを上昇、免疫システムを高める。
- グルタチオンは免疫システムを敏感にし、身体が感染リスクを減らす、強力な酸化防止剤。
- 酸化防止剤は病気と闘う手助けをする、ビタミンC,E,Aなどはよく知られている。
「消化管は、病気と闘う最も大きな役割を担ぐ器官の1つ、腸管は400以上の異なるバクテリアから成る多種バクテリア域で、それぞれのバクテリアには多重菌株がある。この環境に有害バクテリアと有益バクテリアの両方が存在。有益バクテリアを有性にすることが健康全般に重要。善玉菌は、胃腸の健康を保つ役割があり、例としてアシドフィルス菌やビフィドバクテリュウム乳酸菌がある。」
- プリバイオティクス(prebiotics)は、有益バクテリアの活動と成長を促進物質。
- プリバイオティクスにはフルクトオリゴ糖(FOS)とイヌリンの2つがあり、善玉菌の食材原としてし非消化炭水化物である。
- ホエイ・プロテインはプリバイオティクスであり、腸の健康を改善。
- プリバイオティクスとして働くホエイ成分には、免疫グロブリン、ラクトフェリン、グリマクロペプチド(GMP)、食用カルシウムなど含む。
- 免疫グロブリン(Ⅰg)は基本的に、病原体と闘う体内抗体としての役割を担ぐプロテインである。
- 免疫グロブリンにはⅠgG,ⅠgM,ⅠgAなどがある。
- ⅠgGは下痢や脱水症、筋肉痛などを引き起こす感染元の毒素と結合する。
- ラクトフェリン(Lf)は、前生物として働く要素である。ラクトフェリンは鉄分として結合するプロテインであるため、胃や小腸の中で生き残り、腸管下部でバクテリアから鉄分を捕える。病原体の多くは鉄分を必要とするため、ラクトフェリンはこの性質で幅広く自然抗菌物質(微生物の成長を破壊または阻止する)になる。
結論)免疫機能の改善は運動中にホエイ製品を摂取することにより得られる最大の効果。
※ホエイ・プロテイン摂取によるその他の効果
- αラクトアルブミンは人間の母乳の主な成分、ホエイ・プロテインは乳児用調合乳において重要な成分。
- αラクトアルブミンは高レベルのトリプトファンを含むため、自然の弛緩薬である。気分を良くし脳のセロトニン(哺乳動物の血清、血小板、脳などにある収縮物質で神経伝達物質の作用)レベルを上昇。
- ホエイ・プロテインは高血圧症の境界線にある人に効果。
- ホエイ・プロテインはグルタチオン酸化防止剤システム(GSH)によって確実に癌と闘う手助けをしている。
※ホエイ・プロテインとカゼイン・プロテインとは何か
- 1980年頃まで、生産済ホエイの半分は産業廃棄物として各地の水路にすてられていた。
- 2つの意識の変化
- 環境保護法が厳しくなり、産業廃棄物を恒常的に廃棄することが禁止された。
- 研究者がホエイの利点を調査、新たな収入源を生み出した。
- ホエイたは、チーズを作る過程の凝固物やガード=凝乳(カゼイン)を除去した部分から得られる、水のような乳清である。
- ホエイ・プロテインは液体のホエイから分離され、様々な濃度のホエイ・プロテインに精製。
- ホエイ製品は焼き菓子、トッピング、サラダのドレッシング、乳化剤、エナジーバー、プロテインパウダー、乳児用調合乳、医療用栄養調合乳などの高品質タンパク源としても使われる。
- ホエイは牛乳に含まれる全てのビタミンとミネラルを含む。
- ホエイの70-80%は、αラクトアルブミンとβラクトアルブミンから出来、こらは高レベルの必須アミノ酸と分岐鎖アミノ酸(BCAA)を含有している。
- ホエイは完全なプロテインを供給でき、他の栄養素の吸収を妨げない、大豆プロテインより高い効果を発揮。
※ホエイ・プロテインの形態
- ホエイプロテインアイソレート(分離ホエイ)(WPI) タンパク質自体より多く含む
- ホエイプロテインコンセントレート(濃縮ホエイ)(WPC) 他の成分も多く含む
- 加水分解ホエイアイソレート(WPH) ホエイの最適な形態
e.g.,ホエイ・プロテインとカゼイン・プロテインをともに30gを摂取。
ファスト・プロテインとスロー・プロテインの比較 (表が崩れました。)
ホエイ
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摂取後約60-90分
アミノ酸値が最大
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3-4時間で
もとの値に戻る
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身体全体のプロテイン分解
抑制されない
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プロテイン合成
68%高まる
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カゼイン
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アミノ酸値は
ゆっくり上昇
約60-90分後に最大
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約7時間
高いアミノ酸値
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身体全体のプロテイン分解
34%抑制
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プロテイン合成
31%以下
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ホエイ
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摂取後7時間の
ロイシン収支
極めて低い
非常にプロテイン合成を高める
半面、多くが酸化
(エネルギー源として使われる)
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e.g.,100g(粉末)
グルタミン21.9g
ロイシン11.1g
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少量のホエイ・プロテインを
繰り返し摂取で同化状態を促す可能性
4時間以上、20分ごとに13回、少量を摂取
1回でまとめて摂取より効果的
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カゼイン
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摂取後7時間の
ロイシン収支
高い
(プロテインの備蓄量が高い)
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e.g.,100g(粉末)
グルタミン11.6g
ロイシン8.9g
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タンパク質の増加を促すのに優れているかも
カゼインを1回摂取した場合、ホエイを摂取した場合より多くのタンパク質増加
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※筋力系アスリートのタンパク質摂取
○我々は単なる推論や専門家の個人的見解に頼るべきでなく、ましてや科学者でもアスリートでもない個人の意見を信用すべきではない。
○タンパク質は様々な組織の形成と修復に効果、また体内の酵素や免疫タンパク質、輸送体の構成要素としてとても重要。
※タンパク質大量摂取の安全性
・タンパク質摂取量の増大に伴って窒素の排出が増大する。(ある意味無駄になる。)
・窒素平衡を上回る十二分なタンパク質の摂取は価値が無いとはいえない。
- 細胞内情報伝達経路に影響
- 満腹感
- 代謝速度を速める
・過剰摂取の問題点
- 腎臓へのストレス
・「ブレーナー仮説」腎臓の過剰ろ過は有害とする。
最新研究報告)タンパク質大量摂取筋力系アスリート群と標準的食事を摂るコントロール群を比較、
腎「損傷」(尿中の極小アルブミン)、腎機能(クレアチニンクリアランス[糸球体ろ過値])に差は認められない。
- 骨の異化作用
・高タンパク質食(肉類など)とカルシウム尿酸に関するデーターから、高タンパク質食の有害性が示唆。
・尿中の過剰カルシウムを骨密度の低下や骨折リスクの増加を同一視することはできない。
- 脱水症
- 痛風
- 食事の質の低下
・筋力系アスリートを対象とした科学的研究では裏付けられていない。
・筋力系アスリートが大量のタンパク質を摂取することは、
1日に体重1kg当たり約3g以上を10年以上にわたり摂取しない限り、無駄になることはあっても有害であることはない。
※タンパク質の種類
- ホエイ
・ホエイプロテインアイソレート(分離ホエイ)(WPI) タンパク質自体より多く含む
・ホエイプロテインコンセントレート(濃縮ホエイ)(WPC) 他の成分も多く含む
・加水分解ホエイアイソレート(WPH) ホエイの最適な形態
・ホエイプロテインアイソレートと・加水分解ホエイを含むホエイプロテインは、筋力向上を目的としたワークアウト後に摂取すべき最良のタンパク質。
- カゼイン
・消化の遅いタンパク質
・ホエイと同程度の有効性がある。
ロイシンとフェニルアラニンの望ましいバランスの維持に効果的であり、カゼインとホエイに明らかな差はない。
- 大豆
・大豆粉
・ソイコンセントレート
・ソイアイソトレート タンパク質の保有量が多い。
・大豆のエストロゲン効果(女性化)に関する懸念は誇張され過ぎている。
・ホルモン効果に関する懸念は科学的研究で指摘されている。
- 卵
・卵は栄養素が豊富で機能性食品。
・短時間で調理できることから、自然食品としてそのまま食すのが最善。
- 牛肉
・比較的消化の遅いタンパク質。
・クレアチン、カルノシン、動物性化学物質を含む。
・料理法の多様性と味が魅力。
※タンパク質摂取のタイミングと量
・「回復中のタンパク質摂取のタイミングとタンパク源の種類は、タンパク質合成反応の独立制御因子であり、筋肥大の程度に影響を及ぼす、ということを示すエビデンスは山ほどある。」
・ワークアウト前後に摂取するタンパク質の適量は、タンパク質の種類によって多少異なるが、
1回およそ10-20g。(卵なら数個、プロテインパウダーなら1-2杯)
タンパク質
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消化速度
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摂取のタイミング
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栄養源
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完全タンパク質
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ホエイ
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速い
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エクササイズ30分前および直後
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乳製品
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はい
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カゼイン
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遅い
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朝食、夜、食事中
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乳製品
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はい
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大豆
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中程度
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エクササイズの少なくとも2時間前か
後の食事中
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大豆
大豆粉
豆乳
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はい
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卵
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速い
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エクササイズ30分前および直後、食事中
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全卵、卵白
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はい
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牛肉
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遅い(固形)
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食事中、夜
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赤み90%ハンバーグ、
ラウンドステーキ
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はい
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(Strength & Conditioning Journal Vol.20 Num.1 may 2013「食事性タンパク質と筋力系アスリート」 )
※カゼインを用いた体重調整
・無理な体重調整でよく用いられる方法は、食事制限、絶食、サウナ、ウエットスーツ、緩下剤、利尿剤、ダイエットピル、意図した嘔吐など。
・無理な体重調整は、力の減少、認知機能低下、水分・カロリー制限は、低血糖症、感染リスク、心的障害、心臓血管系および温度調節軽へのストレス増加を招くリスク。
- 身体組成、安静時代謝率、トレーニングによる1日のエネルギー消費量の把握。
- グリセミック指数が低ー中程度にランクされる糖質(CHO)。
- トレーニング負荷は1日に2-3回のセッションに分散。
- 脂肪燃焼のための早朝ランニング。
- 午前中の遅い時間帯や午後の早い時間帯に競技特異的テクニック/フィットネスセッション。
- 夕方のストレングス&コンディショニングセッションでトレーニングを組み立てる。
- 運動前に糖質を摂取する際は、グリセミック指数が低いCHOを運動の3時間前までに摂取することが推奨。
- 1日当たりのCHO摂取量を減少させる一方、タンパク質摂取量を増加で除脂肪体重を維持。
- 毎日のタンパク質摂取量を補うために栄養補助食品を用いる場合、カゼインとホエイ両方含む補助食品に価値がある。
- 脂質燃焼だけを目的としたセッションは、一晩絶食した状態の早朝に、中程度の強度と長い持続時間が効果的。
- 1日の体重当たり、糖質2-5g、脂質0.5-1g、タンパク質2-2.5g。
- 1日当たり、糖質40%、脂質20%、タンパク質40%。
・詳細、エビデンス、プログラム処方は専門職にご相談下さい。
(Strength & Conditioning Journal Vol.19 Num.4 may 2012 「格闘競技における体重調整」)
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