2015年2月16日月曜日

腰椎後湾症の運動処方

(タイトル)

腰椎後湾症の運動処方(2001年・未発表)


 著作名 :  管理者

 
(キーワード)

リスク管理/運動処方


このレポートは、2001年に作成・未発表。


この掲載内容は著作者の個人的意見で有り掲載内容には一切の保証・責任は持ちません。
ひとつの考え方としてご覧下さい。


以下本文


普段高齢者で著しく身体機能が低下した人にエクササイズの運動指導をする機会は余りない。
しかし遭遇した場合どの様に全体のプログラムを安全に、効率的に進めていくかをよく
考えなければならない。

通常、運動施設などに通い運動を実行しようとする高齢者は、ある程度の運動機能や
モチベーションがあり日常生活もさほど不自由ない人がほとんどでエクササイズプログラムも
そう難しいものではないが、時としてリスクファクターのクライアントからの依頼がある。

ここでは高齢者(65歳以上)の骨粗鬆症による腰椎後湾症の運動処方を扱います。

リスクファクターの依頼者は出来れば医師の監視下のもとで運動を実施することが望ましいが、
現実には難しい課題が多大にあるように思われる。

クライアントとしては運動を行えば低下した身体機能が何とかなると最終的な望みで
トレーナーを頼ってくる。
しかし、どのような場合でもクライアントのリスクは指導者のリスクになる事を
十分理解しなければならない。

リスク管理

リスクの手続きに関して。
トレーナーの指導範囲を十分に理解する必要があり、医師の監視下のもとで
運動を実施することが望ましい。

◯初回カウンセリング

クライアント自身に現状とリスクがあることを把握してもらう。

ヘルス・スクリーニング表の記入、それに従い運動プログラム開始前のガイドラインに沿って
リスクを説明。同時に身体についてのリスクも説明。

これに沿い医師による診断・運動参加許可書・運動処方・運動制限などが必要との事を
口頭と文章で伝える。

そしてプログラム実施中には常時、再評価を行う必要がある。

◯インフォームド・コンセント,ウェイバー

起こり得るリスクを全て文章にしその中には医師の審判を得る事、各種保険に加入する事、
骨粗鬆症・その他により起こり得る全ての傷害も書き込まれる。

プログラム実施中には再評価によるリスクについての文章の追加が必要。

ウェイバーにはこれらを理解してもらい死亡までの可能性が有る事が書き込まれる。

(問題提起:リスクファクターのクライアントが医師による診断、参加許可、処方、制限の文書を
受け取る、医師の監視下の運動実施はほとんど不可能。
クライアントもこの事で医師のもとを訪れる事もほとんどない。)

 運動処方

ここでのエクササイズの目標は身体機能の維持と改善、自宅でも一人で実行できる種目である。

高齢者エクササイズ・プログラムは多関節で大筋群を動員する全身の主要エクササイズが
含まれるプログラムが望ましく有酸素性運動も合わせて行う事である。

骨粗鬆症予防プログラムはストラクチュラル・エクササイズが含まれるが、
すでに骨粗鬆症が進行状態にある場合、体軸性骨格にストレスを架けるエクササイズは
避けなければならない。

ポイントは転倒防止と基礎ストレングス向上、身体機能の維持と改善、
そして体幹・脊髄を通る負荷やストレス(例:バーベルを肩の前後・頭上・身体の正面などに
保持するエクササイズ)に注意が必要である。

クライアントには女性が多く、
状態は骨粗鬆症による腰椎後湾症と上部脊髄と仙腸関節付近の変位、
腰椎の可動域減少に伴う他の椎間関節の変形と過剰な可動域更新、
それによる椎間板などに弊害が起こる可能性。日常歩行や静止時に大腿部に手を置く状態である。
これらは遺伝的因子、ホルモン等の全身的因子、日常生活の習慣によるものである。

ヘルス・スクリーニングはその他の危険因子を把握し、
それらをプログラムに考慮しなくてはならない。
そして常時、再評価を行う必要がある。

 エクササイズの指導

クライアントには身体が適応するためには数ヶ月単位の長い時間と継続が必要であり、
1回のセッションで全てのエクササイズを実行でき、それで終わりではないと
伝えなければならない。

またプログラムの目標や目的、レップ数・セット数・休息時間などを伝え、
正しいフォームを維持できるまでの反復、クリアーしてから段階的に内容を進める事を
フィードバックさせる。

 エクササイズの選択

ストレッチ:腰椎への不要なストレスを避ける為、体幹を過度に伸展や腰を捻るような動作を
削除した内容をコピーし(これにより自宅で一人でも行う事ができ)見ながら
エクササイズの前後に実施するように指導。

エアロバイク:有酸素性運動の種目で選択。身体レベルにもよるが50VO2max前後を目標に、
最終的に20分間を週に3日から毎日行う事をフィードバック。

エアロバイクは購入しやすくなり、家庭でも扱いやすくなった。

ウォーキングでは歩行時の姿勢が長時間の運動と地面からの連続的な刺激が身体に弊害を起こす
可能性があるが、しかし日常生活では常に歩行している事を忘れてはならない。

ベンチを使ったスクワット:プログラム初期にはストレングスと身体バランス低下のため、
自重負荷スクワットの予備動作とホーム習得のために実施。

両腕を前方に伸ばし立ち上がり腰掛ける。この時ベンチに臀部をゆっくり降ろす事と
体幹の力を抜かないように指導(脊髄の刺激を押さえる)。

自重負荷スクワット:通常の動作で行うが、腰椎の生理的な動きが消失、上部の椎間関節に
可動域更新が観られる脊髄の変位に注意する。
ましてバーベルを肩に担ぐ事は絶対に避けなければならない。

初期の指導時には頭を抱えると思うが、改善できる物と改善できる範囲を認識し、
日々の少しずつの積み重ねで許容範囲の改善は出来るであろう。

また上記のエクササイズをメインとして扱う。

スプリット・スクワット:基礎ストレングスが向上するまで排除。
スクワットを実行できるようになればスムーズに導入できる。

ランジ:スプリット・スクワット実施後、脊髄の支持能力を見てフロント・サイド・リバース・
ランジを導入。
注意点として、片脚づつ交互に行うオルタネイトは重心の移動で脊髄への刺激が強すぎるかも
知れない。

カーフレイズ:脚のストレングスが回復してくると身体のバランス・スキルも改善され
補助なしで行える。

ベンチを使ったプッシュアップ:プッシュアップ導入段階前に行う。
膝を床に付け最下降時には腕と胸が一直線になる様にする。
注意が必要なのは最下降時に手と肩が同じ位置にくること、
肩に何らかの弊害が起こる可能性がある。

プッシュアップ:床に膝を付けて行うが、動作中に背筋を伸ばす態勢になり
脊髄の圧迫に注意が必要になる。

シーティッド・ロウ:ゴムの抵抗を用い足裏に掛け腰を固定したまま行う。
エキセントリック段階で急に脱力すると腰部にストレスが掛かり危険、除々に戻す。
負荷はほとんど無負荷にちかく、肩甲骨を引き寄せる事がポイントになる。
しかし、腰椎の後湾が進行しているクライアントには注意が必要である。

フックライイング・アブドミナルクランチ:マットの上で行う。
指を腰の下に浅く入れてもらい動作中に押し潰す感覚、腰部が床に接触する感覚を覚えてもらう。
同時に指導者は腹部にマニュアル・コンタクトを実行。
この時、頭部は少し上げ視線は腹部を見るようにする。

全体的にセット間と種目間の休息時間は長めに(23分)取るように指導。

指導者はエクササイズ中にクライアントの身体状態・痛み・不具合・疑問について常に問いかけ、
正しいフォームで快適に実行されているか観察をする。

セッションを重ねる事により、フォームの習得、ストレングス向上、身体的適応などが起こり
エクササイズの動作速度の向上、休息時間の減少が起こる。

ここでのクライアントの適応の早さは学習的要因も大きいが、日常使うことのなくなった
神経―筋系コーディネーションの刺激と低下しすぎたストレングス・レベルに良い刺激となり
通常の反応を起こしただけと考えられる。

またこのプログラムはトレーナーの指導を受け習得したならば各自で出来るエクササイズで
高齢者や、その他運動の導入時にも用いる事ができる。

考察

より重症で最初に自身でストレッチが出来ない状態のクライアントの場合、
初期プログラムは運動中止のガイドラインにしたがい、ペア・ストレッチから始めて
エアロバイクでウォームアップとクールダウンを含め510分程度から始める。
初期目標として35/週以上・20分間楽に持続できるまで行う。
その後エクササイズ・プログラムを適切に進める。

また常時設備の整った施設でプログラムを行う場合、マシーンを効率的に使い
アイソレーションのプログラムも取り入れる事ができる。

利用できるマシーンとして、シーテッド・レッグカール、
レッグ・エクステンション(背もたれナシ)、シーテッド・カーフレイズ、
シーテッド・チェストプレス、ローイング・マシーン、トライセップス・マシーン、
バイセップス・マシーンなど、これらのマシーンは注意を計ることで
腰椎や脊髄によけいなストレスを避ける事ができる。

そして、より重症なクライアントの運動導入にも使える。
しかし、指導者は指導の許容範囲を超えないように注意が必要。

まとめ

クライアントは身体の改善が目に見えるように現れるとモチベェーションが向上して、
さらなるエクササイズ・プログラムを要求する事があり、それに合わせてプログラムは
柔軟に計画するが、自主的にやり過ぎ傾向があるかもしれない。
そんな時は「行き過ぎは及ばざるが如し」とか、エクササイズは一生行っていくから今あせって、
今がんばらなくても一生掛けて毎日すこしづつ続ける事が大切と助言するのも良い方法の
ひとつに成るかも知れない。

最後に中高年層のエクササイズ導入には時間がたつにつれてリスクは増加する。
骨粗鬆症は若年期とそれ以後でもエクササイズ・プログラムによって予防する事ができる。

現在、骨粗鬆症による腰椎後湾症であっても身体機能はある程度改善される。

あとがき

この文章は2001年に作成したもので、現在時点の2003年ではパワー・リハビリティションが徐々に
普及し始めてきています。
プログラム計画ではパワー・リハビリティションに関しての文献も参考にする事を薦めます。

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