2015年3月22日日曜日

投手のためのクリティカルインスタントトレーニング

○投手のためのクリティカルインスタントトレーニング


・クリティカルインスタントトレーニング (Critical Instant Training)とは


・投球腕の健康的な機能にとって肩と肘の強化は不可欠であり、コッキング期後半からフォロースルー期までの「クリティカルインスタント(決定的瞬間)」で発生する肘関節の外反ストレスを軽減するのに役立つと思われる。


肘関節の外反ストレスが肘関節内側傷害の主要な原因である。
(肘関節内側傷害、内側側副靭帯(UCL)損傷、肘外側圧迫、後内側肘頭インピジメントなど)


○青少年投手の肘関節障害を予防するための現行の推奨基準(要約)
1.
疲労の兆候を見逃さずに対応する。投手が疲れを訴えたり疲れているように見える際は、ピッチングやその他の投球を一切止めて休ませる。
2.
青少年投手の試合での投球は、12ヵ月間中8ヵ月を超えてはならない。
3.
以下の投球回数の限度と休息日数を守る。
7-8歳 <60球/週、 <1500球/年、投球日間に2日の休養
9-10歳 <75球/週、 <2000球/年、投球日間に2日の休養
11-12歳 <100球/週、 <3000球/年、投球日間に3日の休養
13-14歳 <125球/週、 <3000球/年、投球日間に3日の休養
15-16歳 <95球/試合
17-18歳 <105球/試合

一般的な休養日数

先発投手3日、リリーフ投手2日
26-50球=中1日
51-75球=中2日
76-105球=中3日
4.
青少年投手は同一シーズンに複数のチームで投球してはならない。
5.
青少年投手はできるだけ早く適切な投球メカニックスを収得する。(a)基本(b)直球(c)チェンジアップの順序で投球法を収得する。
6.
スピードガンは使用しない。
7.
投手が捕手を兼ねてはならない。投手と捕手の組み合わせは投球数を増やし傷害のリスクを増大させる。
8.
投手が肘の痛みを訴えた場合には、スポーツ専門医の診察を受けさせる。
9.
年少の投手に対しては、野球や野球以外のスポーツに楽しく参加するように動機付ける。様々な運動に楽しく参加することにより、青少年のスポーツに対する情熱や関心を高める。



○投手のためのクリティカルインスタントトレーニング (Critical Instant Training)の処方とガイドライン


  • 肩の最大外旋からフォロースルーまでの動きを改善する。
  • 肩と肘の傷害を減らす。
  • 可動域と投球ストレスに対する反応をフィードバックする。


  • トレーニングの対象集団と重要なトレーニング方法。
  • G1ー身体的に成熟したアスリート(15歳以上)
  • G2ー身体的に未熟なアスリート(15歳未満)


  • オフシーズンとプレシーズンのコンディショニングの枠組みの中でエクササイズを行う。シーズン中は週1回エクササイズを行うが、試合前48-72時間の休息日の中から適切な曜日を選ぶ。トレーニングセッション前に必ず十分なウォーミングアップを行う。伸張性エクササイズを実施する際は、ストレングスコーチとの意思の疎通が重要である。


  • 可動域評価(ROMA)を投球直後と投球後24時間に行ない、関節可動域の不足をチェックする。可動域に変化(>10°)があった場合は、適切な対応や治療についてスポーツ医学スタッフと連絡を取ることが重要である。


  • スリーパーストレートレッグROMA(可動域評価)
  • スタンディング・エキセントリック・インターナルローテーション
  • スパイン・エキセントリック・インターナルローテーション
  • バンディッド・インターナルローテーション・プロネーション
  • 肘伸展ROMA
  • 上腕二頭筋ー三角筋前部のウォールストレートレッグ


(Vol22 Num2 Mar 2015 p39-p47)

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