脳震盪の後にみられる症状
- 適切な医学的介入を行なえるようにしておく。
- 脳震盪の症状は7-10日で解消する。
- 安静時に症状が見られなくなったら、軽いエクササイズを再開する。
- その後、より複雑な競技特異的課題に移行する。
- 意思決定や反応要素が大きいトレーニングを実行した後、より高強度のドリルを再開。
- 何らかの兆候や症状が出現した場合、プロセスをひとつ前の段階に戻す。
- 症状が再発した場合、直ちに活動を停止し、医師の許可を求める。
○脳震盪の後にみられる症状
精神・神経症状
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片頭痛
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認知症状
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睡眠障害
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感情の起伏が激しくなる
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頭痛
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注意障害
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寝つきが悪い
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気分が落ち込む
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視覚障害
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記憶障害
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睡眠時間が普段より短い
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神経過敏
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めまい
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ぼうっとする
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苛立ち
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音過敏/光過敏
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疲労感
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悪心
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認知速度の低下
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Vol 23 Num 8 oct 2016 p54-p55
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追記
スポーツ性脳震盪
Concussion in Sport Group (CISG)2012年による脳震盪の定義
「脳震盪とは脳の損傷であり、外傷のバイオメカニックス的な力によって誘発された、脳に影響を及ぼす複雑な生理学的過程と定義される」
脳震盪性頭部外傷の定義に組み込まれる共通事項
- 頭部、頸部、顔面、その他の身体部位への打撃によって引き起こされる。
- 突然の短期間の神経障害をもたらすが、その症状は自然消失する。
- 神経病理学的変化をもたらすこともあるが、急性の臨床症状は器質的損傷ではなく機能的傷害を反映していることが多い。
- 段階的症状が発生するが、意識消失を伴うこともあれば伴わないこともある。
- 臨床的症状と認知的症状は一般に順次消失する。
- 脳震盪後の症状が長引くケースが稀にある。
- 照準的な器質的神経画像検査では異常が発見されない。
◌脳震盪の兆候と症状
範疇(はんちゅう)
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兆候と症状
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認知
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反応時間の遅さ
失見当識
集中力の欠如
記憶の消失
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身体
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頭痛
意識消失
めまい
視覚障害
悪心/吐き気
平衡機能障害
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情動
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苛立ち
情動不安定
抑うつ
不安
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睡眠
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眠気
睡眠障害
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- 脳震盪から回復するにつれて脳は正常な生理学的状態を取り戻し、恒常性が保たれていた発症前の状態を取り戻そうとする。
- この時点で生体システムに負荷を与える活動を行うと、症状を悪化させて回復を妨げる可能性がある。
◌脳震盪の管理:評価
- 60時間以上の頭痛を訴えは競技復帰に遅れがみられ、24時間未満の場合は競技復帰が早い。
- 神経機能の運動領域は、姿勢安定(平衡能力)評価によって評価。
- 平衡機能障害は、最大72時間継続することが示されている。
- 姿勢安定の評価は高機能バランスシステム(平衡能力測定器)を利用か信頼性の高い臨床テスト。
- 神経心理学的検査が示す認知機能の完全回復は症状の消失に続いてなされることが多い。
- 神経心理学的検査による以上消失したのちに競技復帰を慎重に決める。
◌身体面と認知面の休養
- 身体的休養は、競技会だけでなくあらゆる形式の運動を含むすべての身体活動を中止する。
- 認知的休養は、学問的行動も非学問的行動も対象になる。学業、暇つぶしの読書、その他、集中と注意を必要とするコンピューターゲームも中止。
◌段階的競技復帰
リハビリテーション段階
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実施する機能的運動
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目的
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1、活動禁止
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症状が消失するまで身体面も認知面の休養。
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回復
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2、軽い有酸素性運動
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ウォーキング、スイミング、ステーショナリーバイク。推定最大心拍数の70%未満。
レジスタンストレーニングは不可。(頭蓋内圧力増大の可能性があるため)
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心拍数の上昇
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3、競技特異的運動
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競技特異的なランニングドリル。
衝撃を与える活動は不可。
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動作の追加
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4、コンタクトなしのトレーニングドリル
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より複雑なトレーニングドリルに漸進する。
レジスタンストレーニングを漸進的に開始してもよい。
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エクササイズ、コーディネーション、認知的負荷
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5、フルコンタクトによる練習
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医師の許可を得て、通常のトレーニング活動に参加。
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自信回復、コーチングスタッフによる機能的スキルの評価
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6、競技への復帰
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通常の試合に参加。
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脳震盪から回復して復帰プログラムを急ぐと
- 症状が長引いたり、うつなどの精神健康問題が発症したりすることがある。
- セカンドインパクトシンドロームの発症リスクがあり、最終的に慢性的外傷性脳障害になる可能性がらる。
◌競技復帰の推奨基準
- 休養時に無症状であること。
- 完全な認知的活動および身体的活動の最中および活動後に無症状であること。
- 平衡能力/姿勢の安定がベースライン値に戻っていること。
- 神経心理学的/認知的検査がベースライン値に戻っていること。
◌医療機関への照会
これらの項目のひとつでも思い当たる節があったら医療専門家への照会を行うべきである。- 脳震盪の疑いを招く大きな衝撃と反応(意識消失、不安定性など)を目撃する。
- コンディショニング中のアスリートとのコミュニケーションにおいて認知状態や平衡機能の変化に気づく。
- 特に強い打撃を受けたアスリートや普段の行動にそぐわない症状を示すアスリートがいると、他のチームメイトから告げられる。
- コンディショニング中のアスリートが、忘れっぽい、目の焦点を合わせにくい、指示に従いにくいなど、脳震盪の疑いを招く行動を示していることに気づく。
(Vol 23 Num 9 nov 2016 p54-p61)
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