止まらぬ食欲「誘惑場面」の「対策」(coping)
◌誘惑場面
日常生活において、つい食べ過ぎてしまう場面などの望ましい行動の継続が困難な場面。
この誘惑場面に対して行う工夫や動機づけ支援、対処方法を「対策」(coping)という。
食べ過ぎないための coping / 食べ過ぎた後のcoping
1st STEP
Anticipatory(先行)・・・誘惑を未然に防ぐために行う対策
2nd STEP
Immediate(即時)・・・誘惑を感じる状況で欲求への反応を抑える対策
3rd STEP
Restorative(回復)・・・誘惑に陥った後にその影響を最小限に抑えるために行う対策
◌「誘惑場面」の具体的局面
- 報酬(なにかに成功したとき) 例)仕事の達成、給料日、試験合格・・・
- 否定的感情(イライラしているとき) 例)仕事のストレス、ミス、喧嘩、意見の食い違い・・・
- 入手可能性(食べ物が手に入り安いとき) 例)食べ放題のお店、タイムセール、作りすぎた余り・・・
- 社会的圧力(食べるよう勧められたとき) 例)上司や先輩との食事、同僚からの差し入れ・・・
- 空腹(お腹が空いているとき) 例)残業で夜が遅い、朝食欠食、おやつを我慢・・・
- リラックス(家でくつろいでいるとき) 例)休日の午後、雑誌やテレビ、ほっとした夕食・・・
誘惑場面の認識・・・自身が苦労している局面の確認
◌「誘惑場面」に対して行う 食べ過ぎないためのcoping
- 行動置換 –違うことをする ・自分の好きなことに没頭する ・お茶を飲む・歯を磨く ・寝る ・友人や家族と話をする
- 食べ方 –工夫して食べる・自分が食べる分だけを小皿に盛る・ゆっくり食べる ・先に野菜を食べる・全部食べないで残す ・脂っこいものは食べない
- 刺激統制 –距離を置く・お菓子を棚にしまう ・食べ物を買い置きしない・食卓に長居しない ・よく食べる人に近づかない
- ソーシャルサポート –協力体制・周りの人にあげる ・友だちと分けて食べる・ダイエットの話を聞いてもらう・減量していることを周囲に伝える
- 認知的対処 –強い気持ちを持つ・減量に成功した時の自分をイメージする・本当に食べたいかを考え直す・体重を思い出す ・食べ物から意識をそらす
◌「誘惑場面」に対して行う 食べ過ぎた後のcoping
- 食事による補償行動 –食事で調整・次の食事でご飯やおかずの量を減らす・脂っこいものを食べないようにする・お菓子や甘い飲み物を減らす
- 運動による補償行動 –運動で調整・ウォーキングやランニングをする・なるべく多く歩く ・いつもより身体を動かす
- セルフ・モニタリング –体重チェック・体重計に乗って増えたか確認する・体型を確かめる ・自身で腹囲を測る・体を触って太ったかを確認する
- 楽天的思考 –気にしすぎない・「まあ、いいか」と気に留めない・「反省」と「気にしすぎない」のバランスを取る・気持ちを切り替える ・一食位くらいOKと励ます
- 反省 –次への教訓・食べ過ぎたことを後悔する・もう食べ過ぎないと心に決める・食べ過ぎないように注意しようと思う
◌継続的な実施と動機付けを支援するポイント
- 行動的対策と認知的対策の組み合わせ ・強い気持ちを持って違うことを行う、 反省をして食事の量を減らす 等
- セルフ・エフィカシー (自己効力感) ・出来そうと思う気持ち。誘惑場面を乗り切ったことを褒める、 継続してできていることを褒める 等
- 「柔軟な管理」と「厳格な管理」 ・食べ過ぎたら次の日に調整する / 絶対に食べてはいけない等 ・柔軟な管理をメインに、厳格な管理とのバランスをコントロールする
- セルフモニタリング ・体重だけではなく、食事を写真に撮って残すことも効果的なセルフモニタリング
- 補償行動 ・失敗行動を補う行動。特にAVEに陥りやすいクライアントには、補償行動を肯定する。
◌「誘惑場面」を乗り越えられなかった罪悪感:Abstinence violation effect (AVE)
誘惑に負けたという失敗体験を自覚することで、AVEを引き起こし、体重管理を継続する意欲や自信が低下する。
(L2-5C 28/Jan/2017 sat 16:45-17:45)
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