〇スポーツ障害における腰痛と予防の(リ)コンディショニング
プレゼンテーション資料(2000年)まとめ
(図1)
復帰までの段取り
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(図1)
(目次)
- あいさつ
- コンディショニングと(リ)コンディショニングの説明
- 腰痛予防のコンディショニング
- 腹腔内圧
- エクササイズとコンディショニング
- 固有受容器の説明(運動機能の説明)
- 神経ー筋系コーディネーション
- 腰痛のリ・コンディショニング
- クライオテクニック
- リ・コンディショニング・プログラム
- 質問
- プログラムの変数(腹筋、背筋)
- プログラムの変数(腹腔内圧)
- 技術前の説明
- 実技
- 実技中の説明
- 質問
○あいさつ
〔内容〕
スポーツなどで起こる腰痛からの回復、そして腰痛にならない様に予防方法について。
○コンディショニングと(リ)コンディショニングの説明
〔コンディショニングと(リ)コンディショニングの説明〕
コンディショニングは一般の方では日常生活をなに不自由なくおくれる健康と身体活動を維持する運動。
スポーツ選手の場合では、試合に向けて最高の身体状態にもって行く方法や自身の弱ってる部分、またはスポーツでケガをしやすい部分などの予防プログラム。
リ・コンディショニングでは、一般の方では病気やケガ、痛み、そしてスポーツ選手と同じ様に、自身の弱い部分や身体の機能が落ちている部分を回復させ日常生活を快適におくれる様になるまでの全ての運動の事を言う。
スポーツ選手の場合は、スポーツ障害からの回復。ケガで休んだり落ちた身体機能の回復からチーム練習に参加出来るようになるまでのプログラムで、慢性障害の予防も含む。
〔ドクターが腹筋、背筋をすすめる〕
よく腰痛の人は、ドクターに腹筋、背筋をしなさいと言われ、予防にも腹筋、背筋をしなさいと言われる。
では腹筋、背筋をどのように実行してどのように(リ)コンディショニングにつなげて行くか?
腰痛の原因はいろいろあり、スポーツ現場にあける腰痛には、過疲労、筋スパズム、反射抑制などがあり、その他にドクターの診察が必要になる病理的な腰痛などさまざま存在。
〔腰椎の安定化運動、予防、復帰〕
腰椎の安定化の運動は基本的な腹筋、背筋の運動で、腰部、腹部の持久力を向上させ過疲労から来る痛みなどの障害に対する予防的方法。
現在、痛みのある人は競技復帰までの段取りと、その後の予防に役立つ内容になる。
「(図1)「復帰までの段取り」」
(図1)「復帰までの段取り」に書いてある1-5は腰痛があって、そこから現場(チームドリル)復帰までの順序。
〔コンディショニングとリ・コンディショニング〕
腰痛予防のコンディショニング・テクニックと、腰痛からの復帰のリ・コンディショニングを説明する。
○腰痛予防のコンディショニング
〔予防方法には腹筋、背筋と腹圧が必要〕
(図1)では3と4になり、腹筋と背筋になるが、この他に腰痛の予防として大切なのは腹圧の問題があります(図2)。
「(図2)腹腔内圧」
○腹腔内圧
腰痛予防には腹圧も大切で、腹圧に対する知識が必要(図3)。
「(図3)腹圧のスクワットの図」
〔腹圧の説明、機能〕
腹圧には液体成分が多く、気体はわずかにしか存在せず、圧縮率が非常に小さいため、横隔膜と体幹深部筋の収縮により腹腔圧が上昇する。
これにより高い圧力下におかれた腹腔内の組織と液体成分は、拳上動作中に「液体の詰まったボール」となり脊椎支持機能を果たし、脊椎起立筋の発揮張力と椎間板内圧を劇的に減少させる。
〔腹圧の収縮の説明〕
脊柱の十分な安定性は腹壁の筋を最大収縮の約2-3%で共収縮で得られる。
研究により6-7%とのデーターもあり、これは運動経験の差で出る差かも知れない。
〔腹圧のトレーニングの説明〕
ここで重要なのは腹部(特に下腹部)は拳上動作において筋活動が行われ、それは最大収縮よりも、軽い負荷で、かつベルトを装着しないでリフティング運動を行うことで養われる。
腹筋、背筋の他に腹圧のトレーニングをしなければならない。それは腹圧のトレーニングは競技特異性に近くなる。
また日常生活の動作に役立ち、日常に近いトレーニングになる。
○エクササイズとコンディショニング
〔特異性、器具の合理性〕
特異性に近くなることは、競技や日常動作に近くなり、エクササイズではスクワット、ランジ、ルーマニアン・デッドリフト、バック・エクステンション、その他になる。
背筋のトレーニングだけなら器具(ハイパーエクステンション、バック・エクステンション)を使った方が合理的かもしれない。
〔腹筋、背筋の利点、腹圧の組み合わせ〕
腹筋、背筋を使った、腰椎をニュートラルな状態にし、また過伸展、過屈曲を防ぐエクササイズを紹介。
そして腹筋、背筋、腹圧をうまく利用し、組み合わせてコンディショニングにつなげ、図1の4の範囲に入る。
○固有受容器の説明(運動機能の説明)
〔固有受容器の説明(運動機能の説明)役割〕
図1の4で、固有受容器機能について言えば、よく知られているのはPNFなので出てくる筋紡錘とゴルジ腱器官などある(以下省略)。
固有受容器機能の反応は、脊椎の位置関係を感じる役割を持ち、これらの位置換器によって、運動制御系は全ての腰椎姿勢をコントロールする事ができる器官である。
図1の4の運動機能の回復では、身体の神経系統が運動中の背骨の位置や姿勢を正しくコントロール出来てるかを見る段階。
運動機能の向上のトレーニング段階になり、スポーツ選手ではスポーツ競技に近いトレーニング段階になる。
○神経ー筋系コーディネーション
単純に腹筋、背筋で鍛えた腹部と腰部を全身の動きに(上半身、下半身に)対してひとつにすることがあげられる。
ひとつの動きに対して全身の神経と筋肉の動きをある動きに対してひとつにすること。要は全身の協調性をつけると言う事になり、それによって腰のアンバランスな負荷や動きを防いで腰痛を予防する。
・特異性、運動機能、神経ー筋系コーディネーションの例
e.g.,日常動作
特異性
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物を持ち上げる動作
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⇓
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運動機能
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デッドリフト
動作中の背骨や姿勢を神経的に正しくコントロールされているか?
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⇓
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神経ー筋系コーディネーション
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これを全身の動き、上半身、下半身
腹筋、背筋が1つの動作で全て一緒にうまく動いているか?
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e.g.,サッカー、走りながら方向転換の場合
特異性
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カッティングなどを含めランジ動作
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⇓
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運動機能
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動作中の上半身のコントロール
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⇓
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神経ー筋系コーディネーション
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全身が協調して働いているか
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e.g.,
特異性
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スクワットで安定性をクリアしながらランジ動作を行い
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⇓
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運動機能
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プライオメトリックスで前後、左右の転換練習
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⇓
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神経ー筋系コーディネーション
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スクワット、ランジで得たものが、スピード方向転換動作で全体的働いているか?
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○腰痛のリ・コンディショニング
〔リ・コンディショニングの説明、予防〕
腰痛によって落ちた身体機能を日常生活を快適に送れる様になるまでの運動と再発予防方法。
スポーツ選手では休んで落ちた身体機能の回復からチーム練習に出られる様になるまでのプログラムと再発予防方法。
病院などでは治療して痛みが消えたらそれでOKとはいかない。なぜなら、痛みによって不活動になっていた期間の身体の運動機能が落ちている。
一般の方では痛みが消えたら、落ちた身体機能の回復と再発予防のために、ある程度の運動が必要になる。
痛みが消えたからと言って何もやらなかったら、また繰り返しになり、今度はオーバーユース(慢性炎症)などになり、次に痛くなった時は、より症状がひどくなる場合がある。
スポーツ選手の場合も同じで、病院で治療して痛みが消えたので直ぐにチーム練習に戻っても、身体機能が落ちている分、余計に他の部分を含めて悪くなったり、ケガをする可能性がある。
なので痛みが消えたら運動機能の回復と予防も含めコンディショニングを整えて行く必要がある。
図1の1-3までがリ・コンディショニングの主に重要な範囲になり、図1の4-5は前記のコンディショニングで話した腹筋、背筋、腹圧の変数を使う事になる。
〔ドクターからの運動の進め〕
図1の1では急性や慢性の痛みがあって、病院に行く事になる。
そしてドクターが少し運動をなどや腹筋、背筋の強化運動をしなさいと、ここから始まります。
〔痛みからの解放テクニック〕
ここで問題が出てきます。どのようにして、どうやって運動をしたらいいのか?
そして次に運動するにも腰が痛くて動かせない問題がある。ではどうしたら良いのか?
写真、各治療法
写真
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図1の1、スポーツ現場(アスレチックス・リハビリテーション)では冷却して運動を行うクライオ・テクニックと言う方法を用いる。
○クライオ・テクニック
〔痛みを無感覚にして動かす〕
腹筋、背筋を鍛えなさいと言われても、痛くては動かせないし、動かさないと良くならないから、痛みを無感覚にして動かす方法。
このテクニックは常にスポーツの現場で使われている。専門的な知識になるので、もし実行するのであれば専門家に相談すし注意をして実施する必要がある。
勉強をした事のある人には復習になるが、皆さんが出来るようにポイントを中心に説明する。
〔アイスキューブの使い方〕
アイスキューブを使ったテクニックでは、腰の痛みの有る部分に5-15分間、筋線維に沿ってこすり、無感覚的な感覚(痛みを感じない感覚)を作り患部を動かす。
〔冷却の実行中の反応と注意〕
冷却中のはじめには痛みが増した感覚があるかもしれないが、冷却を続けていると無感覚になる。
〔実行中の禁止事項〕
冷却中に注意しなければことは、脊椎にはたくさんの神経が走っていので脊椎に直接アイスキューブを当てない。
そして冷却中には四肢の末端などの感覚に注意する必要が上げられる。
〔アイスパックの説明〕
またアイスキューブの他にアイスパックを使う方法もある。
アイスパックを痛みの有る場所に、12-20分間当てて無感覚を作り図1の2段階へ移ります。
〔プログラムの説明〕
アイスキューブやアイスパックの無感覚の時間は約2-3分くらいで、感覚が戻ってきたら約3-5分間くらいまた冷却して無感覚にして患部を動かす事を繰り返す。
これを1日に2-3回、3-4時間おきに繰り返す。
〔マイナスの反応〕
もうひとつ注意することは、クライオ・テクニック後4-8時間くらい、痛みが増したり、腫脹が増しペースダウンする事があるが、時間を掛け根気よく続ける事が大切になる。
〔ck,cs そして痛みのコントロール〕
痛みをコントロールしながら、図1の2のROMの拡大に移る。ここではストレッチや自動運動などになる。
ストレッチは腰痛ストレッチで用いられる股関節の周りの筋群を伸ばすストレッチを行う。
自動運動の方法として、ひとつは図1の3で出てくる腹筋と背筋のテクニックを使う。そしてこれを痛みが無くなるまで続け、痛みが無くなったら、腹圧を鍛える図1の3の筋力系の運動を行う。
そして、リ・コンディショニング(復帰プログラム)へと移って行きます。
○リ・コンディショニング・プログラムの説明
(図5)
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(図5)
〔色違いのジャージ〕
図1-5の機能評価、競技復帰へと移る。
ここでは慢性障害防止のためコーチは選手に違う色のジャージを着せ、チーム全員に病み上がりが分かるようにするのも、ひとつのテクニックとなる。
○質問
○プログラムの変数、腹筋、背筋
(図6)
フックライイング・アブドミナルカール
15-30レップス、2-3セット、休息時間30秒以内
ぺルビック・ティルト
10-15レップス、2-3セット、休息時間30秒以内
バック・エクステンション、ハイパーエクステンション
10-20レップス、2-3セット、休息時間30秒以内
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(図6)プログラムの変数
〔プログラムの実施方法〕
プログラムとして、腹筋を3セット、背筋を3セット。
腹筋と背筋を1セットづつ交互に行うオルタネティング。
感覚がわかってきたらオルタネティングを中心に行ってもよい。
そして、腹筋、背筋を何時行うかについては、ウエイト時の腹圧のトレーニングを考えると最後に、テクニック練習時には前後どちらでも良い。
〔腹筋の筋線維〕
また腹筋の筋線維に関して、腹筋は遅筋繊維が中心に出来てるので、動作はゆっくりと動かすので、ウォームアップになるかも知れない。
このような事を頭に入れ、その時の状況に応じてプログラムする。
○腹圧のプログラムの変数
腹筋、背筋と併せて行ったり、腰痛からの回復後に腹圧に対する知識を利用し、うまく腹圧と運動能力を高めるテクニックを用いてトレーニングを進める。
それにより神経ー筋系コーディネーションをうまく働かせる事が出来るようになる。
腹圧に対するプログラムの変数は、最大でなくベルトなしのトレーニングで腹圧は有意に向上する。
e.g.,スクワット、オーバーヘッド・プレス、リフティング拳上など、バーベルを身体の前後、頭の上で保持する事により腹圧は向上する。
腹圧の問題としてベルトの問題があるが、ベルトは最大もしくは最大下のトレーニング時に付け直ぐに外す。
また腹筋、背筋の実技のテクニックを習得することで、ウエイトトレーニング時の腰椎の位置をニュートラルなポジションに置く事が出来る。
○実技前の説明
〔腹筋、背筋の利点と障害予防の説明〕
これから行う腹筋、背筋はトレーニングや日常生活において脊柱が極端に伸展したり屈曲するのを防ぐのに役立つ。
腰痛の原因のひとつとしての(過)疲労による腰痛などは、腰部と腹部の不十分な持久力によって、(最大下での)活動の際に起こる障害と関連がある。
また(過)疲労は、何もない運動の積み重ねなど休息の取り方にも関連がある。
腰部の筋持久力は、筋力よりも障害に対する予防的な価値が高い事が示されている。
実技目次
パターン1
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パターン2
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○実技中の説明
動作中の伸展動作は数をこなす事により、少ししか反らなくなる。これは身体があまり反るなと言う信号か持久力的な要因なのかも知れない。その時は無理に反らなくても良い。
ここで行う腹筋運動は、すべての腹筋動作の基礎となる。
背筋だけのトレーニングでは器具を使った方が効果的かもしれない。
予防目的の動作には腹筋、背筋テクニックを使う。
○質問
(05 may 2017)
腰痛のリ・コンディショニング/クライオセラピー 講演・実技資料掲載:より
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